常念岳・大天井岳・燕岳

一ノ沢〜常念岳〜大天井岳〜燕岳〜有明荘 2001/7/16-19

7/16(月)

ここのところ、東京は青空の日が多く、山に行きたくなったのでみどりの窓口でアルプスの指定席を確保。

いつものごとく、ちょっと早めに家を出た。南の空にさそり座と明るい惑星が見えた。数日前からさそり座のそばに惑星があることに気付いていて、どうも火星らしいのとは思っていたのだがちゃんと確認しようと思いつつ確認していなかったことを思い出した(あとで調べたらやはり火星だった)。最寄り駅より電車に乗ったが、動き出さない。南柏で投石があったとのこと。10分ほど遅れて電車は動き出した。

新宿駅は工事中でいつもアルプスが停るレールの上は蓋がしてあり、いつもは待避線として使われているところを使っていた。アルプスはいつもはあずさの車両と同じ藤色を基調とした車両であるが、この日は前の世代のクリーム色を基調とした車両のものが来た。アルプスは定刻通り新宿を出発。8割程度の混み具合。

7/17(火)

穂高駅で下車。ガイドブックなどには常念登山の際の最寄り駅は豊科となっているが、実は穂高駅からの方がタクシー料金が安い。これは南安タクシーのホームページの料金表で知った。未だにガイドブックでは最寄り駅が豊科となっているのは過去にバス路線でもあってその名残なのだろうか。距離的に一番近い駅は柏矢町であろうが柏矢町は構内にタクシーがいることは期待できそうにない。

穂高駅で下車した登山客は思ったより少なかった。相乗りで一ノ沢に行こうと思ったが、期待できそうにないのでそのまま一人で乗車して登山口まで向かった。タクシーの運転手さんの言うことには登山客が増えるのは海の日以降だそうだ。今日は堀金中の学校登山があるとのこと。学校登山は昔は体力がある生徒は燕岳、そうでない生徒は常念岳に登ったそうだ。現在では燕岳の方が登山口からの小屋までのコースタイムが短いが、昔は燕岳は宮城、常念岳は烏川橋あたりが出発点だったのであろう。ちなみに穂高駅から一ノ沢は14,5キロであるが、宮城〜中房温泉の林道は13キロある。また、乗ってきたアルプスは臨時かと聞かれた。色がいつものと違うので臨時かと思ったそうだ。

一ノ沢〜山の神〜烏帽子沢〜水場

一応、家で水筒に水は入れて持ってきていたが、登山口に水道があったのでそこで水を入れ直した。

歩き出して40分ほどのちょっと開けた河原でニホンザルにあった。1時間ほど歩いたあと休憩をしてふと目をあげると『←常念小屋 柏矢町→』という看板があった。やはり柏矢町が距離の点では一番の最寄り駅のようだ。1時間20分ほど歩いたところで登山道になにやら動くものを発見。ヒキガエルだった。

この時期は高山植物の多い時期のようでホトトギス、タテヤマウツボグサ、カラマツソウ、センジュガンピ、ヤマガラシなどが見られた。1930m付近で沢に雪が残っておりその近辺ではクガイソウ、オトギリソウ、ニッコウキスゲ、ミヤマカマラマツ、カラマツソウ、ヨツバシオガマ、タカネグンナイフウロなどが咲いていた。

水場〜常念小屋

この日はやたらと暑く、いつもは水を150ccも飲まないのに、最後の水場までで750ccの水筒の半分ほども水を飲んでしまった。最後の水場で水筒および500ccのペットボトルに給水。登る前はペットボトルの方は水をいれる予定では無かったのだが。

この日は登りでは学校登山の三郷中の生徒が登っていたが、それ以外は10人程度の登山者としかすれ違わなかった。

常念小屋〜常念岳〜常念小屋

天気は晴れ時々曇りといった状態で安曇野とそちら方面の山はそこそこ見えるが、槍ヶ岳などは頭に雲をかぶっている状態。

小屋に荷物を置かせてもらって、途中、追いつ抜かれつしてきた年配の登山者の方と一緒に山頂を往復。この方は定年退職後に趣味の一つもないとつまらないので退職後に登山を始めたそうだ。登っている途中で槍の穂先が短時間だけ見えた。この山行中で槍の穂先が見えたのはこの1回だけ。タカネスミレ、ミヤマダイコンソウ、コゴメグサなどが咲いていた。

途中、前常念の分岐に自衛隊の人たちがいた。三股から登ってきたそうだ。ちょうど昼食を始める時だったのだが、一人の人の食事内容をみたら、レトルトの米とレトルトのハンバーグをお湯で温めることなくそのまま食べていた。これも訓練の一環なのだろうか?

山頂からはほとんどの山が頭に雲をかぶっており展望はいまいち。でも、登山者がほとんどおらずのんびり出来た。山頂でのんびりしていると堀金中学の生徒が登ってきて、小屋の前で集合していた。

山頂は以前登ったときには山頂を示す看板があったように思うが無くなっていた。そのかわり、祠が新しくなっていた。下山後に知ったのだが、7/14に新しい祠を設置したそうだ。以前の祠は屋根が銅板だったが、落雷を招くということで新しい祠は白木の屋根にしたそうだ。

しばらくすると先ほどの自衛隊の人たちが登ってきた。リーダーらしき人の口から学生なる言葉が聞こえてきたので防衛大学校の学生と教官らしい。

前常念の分岐まで降りてくると何故か自衛隊の人が数人残っていた。まもなく下の方から一人の隊員の人が登ってきた。そういえば、登っているときにすごい勢いで下っている人が一人いた。その人はなんと常念小屋でバッチを買うために下っていたそうだ。やはり自衛隊の人は体力がある。この後、自衛隊の人たちは蝶ヶ岳まで行って幕営するそうだ。

小屋に戻って宿泊手続きをした後に生ビール(アサヒ、中ジョッキ、800円)で乾杯。

この日の小屋はすいており、食事も交代無し。前に来たときよりも食事が質素になったような気がするが、ここの小屋は環境に影響の少ないトイレを新設したりしている(環境庁からの補助を受けているとはいえ、かなりの投資だろう。林野庁は地代を徴収するだけしておいて、こういう問題は環境庁に押しつけてノータッチなのは疑問。それではただの悪徳大家ではないか)のに料金は据え置きなので仕方がないだろう。部屋の方は学校登山の生徒がいるせいか別館の方になり、10畳の部屋に6人とかなり余裕のある状態。小屋の受付のところにあるホワイトボードには三郷中177と書いてあったので三郷中は総勢177人だったようだ。また、常念往復の後でビールを飲んでいるときに堀金中80人引率11人ということを小屋の従業員の人が言っているのが聞こえた。かなり空いている状態であったが、学校登山がなければ小屋はかなりスカスカの状態なようだ。

コースタイム

7/18(水)

1時ごろに目が覚めた。窓から外を見ると満天の星空。三脚にカメラをセットしてシャッターを開けたままの状態にして星の写真を撮った。安曇野の夜景がきれいに見えた。どうも松本、豊科、三郷あたりの灯りのようだ。10分ほど星を見ていたが、寒くなったのでカメラを残して小屋に戻った。30分ほどで戻って再度カメラをセット。北極星を中心に取りたかったのだが、あまりにも星が多すぎて北極星を探す目安にしている北斗七星が分からない。仕方ないので適当に設置して、部屋に戻ってふとんに入って一時間ほど眠った。カメラの回収に行ってみると残念な事に雲が空を覆っていた。東の方の空には細い月とすぐ近くに惑星が見えた(後で調べたら金星と土星だった)。

常念小屋〜大天荘

この日は燕山荘までなのでかなりお気楽。ゆっくり朝食を食べてから出発。曇り時々晴れといった天気で、安曇野方面と上信越方面の山は見えたが、その反対側の山は雲をかぶっていた。横通岳の途中でポツポツと雨粒が落ちてきた。

横通岳からの大天井、燕山荘までの道にはいたる所にコマクサが咲いていた。また、東大天井の手前にはシナノキンバイ、ミヤマキンバイ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンポウゲ、チングルマ、イワカガミ、アオノツガザクラなどのちょっとしたお花畑が広がっており見事だった。

東大天井あたりからガスが出てきた。展望がないならせめて雷鳥でも見ることが出来ないかと思いつつ歩いていると大天荘の手前でひなを3羽連れたメスの雷鳥に遭遇。

東大天井を過ぎる頃からイワギキョウを見かけるようになったが、咲いているものはほとんどなくまだ蕾。

大天荘〜大下りの頭〜燕山荘

大天荘のベンチで一休み。完全にガスの中でちょっと肌寒く、フリースを着込んだ。ザックの中を見ると3つ持ってきていると思っていたウィダーinゼリー エネルギーインが4つ入っていた。道理で荷物がかさばるわけだ。始めは2泊なので2個で良いかと思ったのだが、念のために3つ入れたつもりだった。思わず、ブレードランナーの『2つで十分ですよ〜。』という台詞を思い出した。確かに2つで十分だ。デッカード(ハリソン・フォード)も4つなどと言わずに素直に2つにしとけば良いのだ。私も2つにしておけば良かった。以前はスパー・オン・ザ・ゴーというゼリー飲料を利用していたのだが、他のゼリー飲料に押されて、この製品は売られなくなってしまった。これは250cc, 250kcal、250円という250尽くしの製品だったのだが、吸収が早く結構愛用していた。これが無くなったあとはサバス エナジーゼリーが200kcalとゼリー飲料中では一番カロリーが高いのだが入手しにくいので、入手しやすいウィダーinゼリーを利用している。これは160kcalとちょっとカロリーが少なめなのでついつい多めに持ってきてしまう。

手元が寒かったので軍手をはめて、大天荘より下った。喜作レリーフのところのクサリ場は他に登山者がおらず待ちはなし。前回ここを歩いたときには無かったはしごがかけられており、通過がかなり楽になっていた。

大天井を離れるにつれ、ガスが晴れ出した。登山道は安曇野側、その反対側と稜線上に続いているが安曇野側は下から吹き上げてくる風が無くかなり暑い。また、その反対側も大天井から離れるにつれ風がだんだん弱くなり暑くなってきた。大下りの手前でフリースとシャツを脱ぎ、Tシャツ姿になった。

燕山荘までの稜線はコマクサはもとより、小規模なお花畑が点在し、ハクサンチドリ、テガタチドリ、ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ、チングルマ、イワカガミなどが咲いていた。常念の方では見かけなかったハクサンフウロも咲いていた。

あと30分も歩けば燕山荘だななどと考えつつ歩いているとまたもや雷鳥と遭遇。今度の雷鳥は雛を一羽連れたメスだった。

大天荘からはゆっくり歩いてきたつもりだったが、昼前に燕山荘に着いてしまった。常念小屋〜燕山荘では10人程度の人としかすれ違わなかった。とりあえず、宿泊の手続きをした。今年は燕山荘が80周年ということで記念にキーホルダーかバッヂをくれるというのでバッヂの方をもらった。荷物を置いてから外のベンチで生ビール(キリン、大ジョッキ、1,000円)を飲んだ。ベンチの前の石垣にはミヤマクワガタがたくさん咲いていた。その下にはハクサンチドリがたくさん咲いていた。ちらほらとトリカブトも混ざっていた。安曇野の景色を見つつビールを飲んでいると、なんと風にのって高山植物の花の香りが漂ってきた。松川村あたりだと思うが今いる高度とほぼ同じ高さで雲がもくもくわき上がっていた。わき上がる雲を下から眺めるのでなく横に眺めるのはなんか変な感じ。

ビールを飲んだ後は部屋で昼寝をしていたのだが、サンルームの方から心地よいBGMが聞こえて来たのでコーヒーを飲みにサンルームへ向かった。ここのサンルームは常に心地良い音楽が流れている。コーヒーを頼むときに曲を聞いたらTINGALAの『さきよだ』というアルバムとのこと(帰ってからCDを早速買ってしまった)。ここのサンルームは見ていて感心してしまう。ケーキの注文があるとホイップクリームを注文があってから絞り出してのせているし、コーヒーの注文があるとちゃんとカップをお湯で温めてから注いでいる。

コーヒーの後は燕岳往復。北燕まで行くつもりであったが雨がポツリポツリと降ってきたのでやめにした。

小屋はすいており、食事は交代無し、学校登山は入っていたものの別館の方。寝床も定員8人の蚕棚に4人とかなり余裕。燕山荘は1999年よりミズノと共同開発したという封筒型の寝袋がふとん代わりになっている。寝床に置いてある布団は敷布団とこの封筒型の寝袋のみ。

コースタイム

7/19(木)

日の出前に目が覚めたのでご来光を見に外に出た。ふと脇を見ると熊除けの電線の電源がおいてあった。牛馬の絵が書いてあることから本来は牧畜関係で使うもののようだ。

熊除けの電源 熊除けの電源 title=

安曇野側は見事な雲海だが反対側は雲が山の頂を覆っていた。小槍までは見えるが槍の穂先は見えない。裏銀座の方は烏帽子岳の山頂が辛うじて見えていた。

ご来光を見て、小屋に戻るとちょうど朝食が始まっていた。

燕山荘〜合戦の頭〜合戦小屋

朝食後にサンルームでコーヒーを飲んだ後、パッキングをしなおして、出発。小屋の受付で有明荘の外来入浴の開始時間を聞いたら8:30位だということなのでそれくらいまでに下山できれば良いのでかなり余裕がある。合戦の頭を過ぎると樹林帯で山々は見えなくなる。名残惜しいがサクサク下っていった。

合戦小屋〜富士見ベンチ〜第三ベンチ〜第二ベンチ

富士見ベンチあたりより登りの登山者とすれ違うようになってきた。いつものことだが休憩無しで下って行った。

第二ベンチ〜第一ベンチ〜中房登山口〜有明荘

第一ベンチの水場でいつものごとく家に帰ってからコーヒーを淹れるのに使うための水を汲んだ。登山口までは20人くらいの登山者とすれ違った。登山口にも30人くらい登山者がいた。やはり、休前日なので登山者が多いようだ。

以前までなら中房温泉へ入浴しに行ったところだが、昨年に有明荘に泊まる機会があり、かなり気持ちの良い露天風呂があるとわかっていたので迷わず有明荘に向かった。そういえば中房温泉は7/12から衛星回線を使ってカード払いが出来るようになったそうだ。

8時過ぎに有明荘に着いたが、外来の入浴は9:00からとのこと。ありがたいことに入り口のそばの畳敷きの休憩所のような部屋で待たせてくれた。8:40頃に風呂の掃除が終わったとのことで入浴できるようになった。入浴中に他に誰も入ってこず、内湯も広い露天風呂も独り占め。

コースタイム

9:30発の乗り合いタクシーで穂高駅へ。中房では曇りがちであったが、穂高駅まで降りてくるとこちらは晴れていた。駅から見ると山の上は雲がかかっていた。穂高で食事をしてから松本に出ようかとも思ったが、このあたりは11時にならないと食事が出来る店が開かないので10:23の電車で松本に出ることにした。みどりの窓口で帰りのあずさの指定席を取り、財布の中にオレンジカードがなかったのでオレンジカードを買った。オレンジカードの類はいつも金券屋で買っているのだが、最近は値段がイオカードと変わらないのでイオカードの方ばかり買っていた。東京近辺でないとイオカードは使えないのでオレンジカードの方が便利。

松本駅前郵便局でイワナの絵が入った長野県版のかもめーるを購入。その後、いつも松本で食事をする店に行ったのだが、まだ開いていなかった。以前は11時過ぎには開いていたように思ったのだが。仕方ないので適当に歩いて看板に『馬刺』の文字が入っていた店に入って昼食。

いつものごとく駅ビルの本屋で本を買った。高山植物の図鑑が欲しかったので山渓の出している図鑑を買った。帰ってから家の近くの本屋で買っても良いのだが、思いついた時に買っておかないとそのうち忘れてしまうので買うことにした。ついでに駅ビルのポイントカードを作ってもらった。しょっちゅう松本の駅ビルは利用しているので作っておいて損はないだろう。

駅ビルの1Fの酒屋さんで車中で飲むビールなどを買い込んだ後にホームに降りた。あずさ62号は定刻通り12:52に発車。この電車は新宿までそこそこ空席のある状態だった。このころにはかなり晴れ間が広がってきており常念の頂上まで見渡すことが出来た。一方、東京に近づくにつれて曇りがちになり八ヶ岳、南アルプスには雲がかかっていた。

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