蝶ヶ岳

上高地〜横尾〜蝶ヶ岳〜横尾〜上高地 2000/7/20-22

7/19(水)

8月初旬に燕岳に行く予定であずさの回数券を買って指定席を確保したのだが、面子が3人のため1枚余っている。この1枚が発作的な登山の引金になった。最初は金券屋で数合わせのためにあと2枚回数券を仕入れて復路用にするつもりだった。海の日は山は大混雑すると聞いていたので、山に行く気は数日前までは全然無かったのであるが、連日晴れが続いていることと17日に関東甲信越地方が梅雨明けしたこともあってどうしても北アルプスに行きたくなって、出勤前にみどりの窓口に行って指定席を確保した。さすがに今晩の指定は満席だったが20日の指定が確保できた。混雑する時期であっても大滝山荘はすいていると思ったので大滝山に行くつもりだった。

7/20(木) [海の日]

出発前にコンビニで少し朝食用の食料を調達。朝食は村営食堂で食べようと考えていたので朝食用の食料は持っていかないつもりだったのだが、自分が腹減り大魔神の上にシャリバテ大王なことを思いだし一応買っていくことにした。

急行アルプスは定刻通り出発。車内放送では指定席は満席と言っていた。車内は冷房があんまり効いていない。自分は冷房が苦手で夏でも長袖を着ていて、外では腕まくり、電車の中では腕まくりをやめるということをやっているが、この日のアルプスではTシャツ1枚でずっと過ごした。

7/21(金)

塩尻の到着時にいつもと様子が違うことに気づいた。ちくまが隣のホームに止まっていた。アルプスとちくまとの接続は塩尻になったようだ。その上、時計を見ると4:10をすぎていた。事前に全然調べていなかったがアルプスの松本の到着時刻が変わっていた。

4:23に松本着。松電上高地線のホームに行くと駅の外からタクシーの運転手が上高地まで1人3,000円で電車、バスを乗り継ぐより500円高いだけで1時間早く着くとか次の電車は6:30だとか言っていた。この中で真実は1時間早く着くということだけだ。500円高いだけというのはある意味で嘘。上高地まで往復の場合は往復切符が4,600円なので往復の場合は出費が500円高くなるだけではない。最後の6:30まで電車がないというのは大嘘で4:50に新島々行の電車がある。嘘をついてまで稼ぎたいのだろうか。ここのタクシー(Mタクシー)は2度と使わないことに決めた。

新島々までの電車は新しい車両だった(といっても井の頭線からの払い下げらしい)。新島々到着時点で空はすっかり明るくなっていた。昨日の天気予報では曇りと言っていたが晴れていた。意外と空いていて上高地行きのバスは1台だけで補助席も使われなかった。思っていたより空いていたので大滝山荘まで行かずに蝶ヶ岳までで行程を打ち切ることにした。

6:20に上高地着。定刻だと6:30になっている。昨年までだと定刻で6:00着なので30分ばかり遅い。今後は早く歩き出したいときは松電の夜行バスを利用した方がよさそうだ。すぐに出札窓口に行って、明日の12:20のバスの整理券をもらった。

上高地BT〜明神〜徳沢

村営食堂で朝食後に出発。朝食を持っていけば安く上がるのだがやはり朝は温かい米が食べたい。昨日にでも雨が降ったのか空気が湿っていた。湿った冷たい空気が肌に心地よい。湿度が高いということは蝶ヶ岳の登りで日が高くなるにつれて蒸し暑くなっていくということなので早く登ってしまおうと思った。

徳沢〜横尾〜槍見台

徳沢には思ったより多くのテントが張ってあった。

横尾大橋は昨年工事中の時に横を通ったが、立派なつり橋がすでに完成していた。前の橋は橋脚部分がやられたのでつり橋にしたらしい。大雨時の増水時にも橋が沈水しないようにするためかつり橋のも橋脚部分がだいぶかさ上げした形になっている。

槍見台〜常念岳分岐〜蝶ヶ岳ヒュッテ

槍見台では槍ヶ岳がはっきり見えた。自分は晴れ男なのだがどうも蝶ヶ岳とは相性が悪く、登りで曇ったり雨が降ったりするジンクスがあったが、これでこのジンクスとはさよならできそう。

上に登るにつれて曇ってきた。空気は涼しいのだが湿度があるのでかいた汗が蒸発せずに暑い。上に行くに従い、少しだけ風が出て涼しくなってきたが、今度は小さな虫が寄ってきて鬱陶しい。稜線までに出会った登山者は30人ちょっと位で人数的にはいつもとたいして変わりないように思う。森林限界を超えるちょっと手前に山桜が咲いていた。稜線に出たときはまわりはガスって展望はなし。ハイマツの海を吹いてくる風が北アルプスの稜線にいることを実感させてくれた。

蝶ヶ岳ヒュッテの受付の前には思っていたより登山者がいた。やはり大滝山荘まで足を伸ばそうかという考えも浮かんだが、面倒なので蝶ヶ岳ヒュッテに泊まることにした。

案内された部屋は売店脇の階段を上って、さらに急な階段を登ったところにある3階の屋根裏部屋のようなところ。狭苦しいところなのでちょっと緩めに人を詰めてくれているらしい。それでも2畳に3人。この時期の北アルプスとしてはこの程度の寝床があるのは御の字であろう。私が着いたときはヒュッテはそんなに混んでいなかったが夜までに満杯になっていた。どうも下から登ってくる登山者はそんなに多くないようだが、縦走して来る登山者が多いようだ。

この日に出た夕食はウナギの蒲焼き。山の上でこういうものを食べることが出来るとは思わなかった。ちゃんとサンショウもあった。それも店屋にあるようなちゃんとした木の容器に入ったやつ。汁物は味噌汁でなく豚汁であった。

夕食後は時々ガスが晴れて穂高や安曇野が見えるようになってきたので寝る前の少しの時間だけ外で景色を眺めた。

この日はかなり混んでいたようで夕食は20時くらいまで続いていた。食堂の前に食券番号と食事時間の表があったが、410まで番号があった。あきれたことに20時頃にヘッドランプをつけてヒュッテに到着した登山者グループがいた。

コースタイム

7/22(土)

2時ちょっと過ぎに早立ちする登山者の出す物音で目覚めた。せっかくなので星を見に外に出た。ちょっと雲があったり、月が出ていたりで星を見る条件としてはちょっと良くない。条件が良くないと言ってもプラネタリウムで見る星とは比べ物にならない星の数。三股方面を見ると森の中を灯りが2つほど見えた。どうやら夜明けを目指して登ってくる登山者のようだ。

4時ちょっと過ぎに今度は日の出を見るために外に出た。安曇野側の空がきれいな色に染まっていた。ふと下を見るとヒュッテからちょっと下ったところに灯りが見えた。星を見に外に出たときに見たあかりはやはり夜明けを目指して登ってきた登山者だったのだ。

太陽が少し顔を見せた状態を写真に撮ったのち、今度は穂高側の山々が赤く染まるのを写真に撮った。5時10分前くらいまで写真を撮っていたが、食事がそろそろ始まりそうだということでそのまま食堂に直行。

蝶ヶ岳ヒュッテ〜常念岳分岐〜槍見台〜横尾

ヒュッテでコーヒーを飲んだ後に出発。稜線上では良い天気であったが、降りるに連れてだんだん雲が多くなってきた。

横尾〜徳沢〜明神〜上高地BT

昨日よりちょっと早い時間なので横尾の登山者の数は昨日よりちょっと少ない。横尾から少し行ったあたりから生暖かい風が吹いて、雲も多くなってきた。天気予報では今日は天気が良いとは言っていたが、この分だと少し降りそうだと思ったので、雨が降りだす前にバスに乗るために足を早めた。

上高地郵便局で80円の地方切手数枚を買い、そのあと水を水筒に汲んで(家でコーヒーを入れるときに使うため)から、出札窓口で整理券を10:00のバスのものに変えてもらってバスに乗り込んだ。

コースタイム

大正池ホテルのトイレのある広場の前の道で観光バス数台が客を下ろしていて大渋滞。松電の職員がトランシーバーを持って、交通整理のために走り回っていた。自分の乗ったバスの運転手さんは怒って窓から観光バスの運転手にこんなところに停めるなと叱っていた。それでもラチがあかずについには車を降りて、文句を言いに出て行った。普段から自分も観光バスの運転手はマナーには閉口していたので運転手さんの怒りはよく分かった。それでも観光バスが次々来る状態で15分くらいそこに止まっていた。安曇村は観光バスの上高地乗り入れ自粛要請をしているらしいが、自粛要請くらいではたいしては意味を持たないだろう。渋滞の元凶になっているツアー会社のバスはシャットアウトすべきだと思う。

結局、釜トンネルを抜けたのは10:35でちょうど次のバスが上高地を出る時間になっていた。車中の人は新島々で接続する電車に間に合わないとあきらめていたようだが、私は間に合うことを確信していた。なぜなら運転手さんが時間までに駅に着くような運転をしていたからだ。下りでもある程度の速度になるまではアクセルを踏んでいるし、エンジンブレーキはカーブ以外ではほとんどかけていない。沢渡で1人乗客を乗せるまでは前を走るタクシーの後ろにぴったりついていっていた。親子滝で乗鞍方面への乗客を下ろしてからの運転もすごかった。ここからちょっと下ったあたりから道がやや狭くなり、トンネルも多くなる。トンネル内では観光バスがセンターラインにかなり寄った状態で走ってくるのだが、そういう車をよけるために道の脇の側溝の金属の蓋を半分踏み、カンカンと音を立てながらスピードも落とさずに走っていた。結局、バスは電車の出発の3分前に新島々に到着し、無事に接続の電車に乗ることが出来た。

松本に出てからすぐにみどりの窓口へ行き、今回の帰りと次の山行に使うあずさの回数券を買った。この後は昼食を食べ、いつものごとく酒屋に寄り地酒を買い、駅ビルの本屋で本を買ってから12:52発のあずさ62号に乗って帰った。

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